〜雇用・景況感・政策・為替が交差する「年末相場の分岐点」〜
こんにちは。マーケット視点から経済と投資戦略を読み解く本ブログです。
今週は、11月第2週(11/10〜11/14) に焦点を当てて「株価を大きく動かしやすいイベント」を網羅的に整理していきます。
11月は例年、年末にかけての資金流入の有無を見極める重要な月にあたります。
その中でも第2週は、米国のインフレ指標、失業申請件数、企業決算の後半戦、日本ではGDP速報値と市場心理を左右する消費関連統計 がそろい踏みする週です。
この週の判断を誤れば、12月の投資戦略の方向性が大きくズレるリスクがあります。
逆に言えば、イベントを正しく把握しておけば、指数先導銘柄、景気循環株、グロース銘柄、為替関連、消費セクター株で優位に立つことができます。
本記事では、
・海外イベントカレンダー
・日本イベントカレンダー
・イベントごとの市場インパクト
・セクター別影響
・投資戦略の指針
を詳しく整理します。
🌍【海外マーケット:イベントカレンダー】2025年11月第2週
| 日付 | イベント | 重要度(10段階) | 解説キーワード |
|---|---|---|---|
| 11/10(月) | 米国10月CPI(消費者物価指数) | 10 | インフレ再燃か鈍化か。FRB政策の方向性に直結。 |
| 11/11(火) | 米国PPI(生産者物価指数) | 8 | 企業側コストの動き。CPIの先行指標となる。 |
| 11/12(水) | 米国FOMC議事要旨公開 | 9 | 利下げ時期のヒントとして市場が過剰反応しやすい。 |
| 11/13(木) | 米国新規失業保険申請件数 | 7 | 雇用の強弱と消費の勢いの確認。 |
| 11/14(金) | 米国ミシガン大学消費者信頼感指数(速報) | 8 | 家計マインドがどこまで回復しているか。 |
🔍 イベントごとの詳細解説と相場インパクト
ここからは各イベントが市場にどのような影響を及ぼすかを丁寧に深掘りします。
✅ 米国10月CPI(11月10日 月)
重要度:10(最大級)
CPIは、市場にとって最重要データの一つ。
理由は単純です。
インフレ → 金利 → 為替 → 株価 という連鎖の最上流に位置しているためです。
注目点
- 総合指数だけではなく コアCPI(食品・エネルギー除く) が最重要。
- 住居費とサービス価格が上昇を続けているか。
市場インパクト
| 結果 | 市場反応 | 株式への影響 |
|---|---|---|
| 予想より高い | 利下げ期待後退 → 金利上昇 → 株安 | ハイテク、グロースが弱い |
| 予想通り | 方向感なくレンジ形成 | セクター選別が進む |
| 予想より低い | 利下げ期待強まる → 株高 | 半導体・インターネット・AI株が強い |
日本株への影響
- 円安が進みやすい → トヨタ・デンソー・三菱重工など輸出セクターに追い風
- 金利上昇時は 金融株(三菱UFJ、第一生命)が強い
✅ 米国PPI(11月11日 火)
重要度:8
PPIは CPIに対して 1〜2か月先の動き を示唆します。
企業のレベルでコストが上がっていると、将来的に消費者価格に転嫁されます。
- PPI上昇 → 企業利益率が縮む懸念 → 製造セクター、外食小売が弱含む
- PPI低下 → マージン改善期待 → 企業の株価にプラス
✅ FOMC議事要旨(11月12日 水)
重要度:9
議事要旨の読み解きポイントは「利下げのタイミング」。
市場は「○月利下げか」という文言のニュアンスに過敏に反応します。
- 利下げ前倒し示唆 → 株高
- 利下げ後ろ倒し → 株安
特にナスダック主導のAI相場に影響が強い週となる。
✅ 新規失業保険申請件数(11月13日 木)
重要度:7
雇用が弱くなれば、消費が落ち、景気後退シナリオへ向かいます。
ただし、弱すぎると金利低下期待が復活し、株式市場にとってはむしろプラスになることがある点は注意。
✅ ミシガン大学消費者信頼感指数(11月14日 金)
重要度:8
これは 消費心理=株価心理 といってもよいほど影響力が強い統計です。
- 心理改善 → 小売、旅行、外食株に資金流入
- 心理悪化 → 防衛消費・生活必需品に資金が逃げる
🗾 日本イベント詳細解説
🗾【日本マーケット:国内イベントカレンダー】同週
| 日付 | イベント | 重要度 | 注目ポイント |
|---|---|---|---|
| 11/11(火) | 7−9月期 GDP一次速報 | 10 | 景気の実態と企業投資・個人消費のバランスを測る決定材料。 |
| 11/12(水) | 日銀・金融政策関連発言(黒田総裁会見枠想定) | 7 | 日銀が本格正常化に踏み出すタイミングを探る。 |
| 11/13(木) | 機械受注統計 | 6 | 設備投資の勢い。製造業回復の裏付けとして重視。 |
| 11/14(金) | 国内企業決算ラストピーク | 9 | 2025年相場の業種別勝ち組を確定させる最終イベント。 |
✅ 7−9月期 GDP一次速報(11月11日 火)
重要度:10
日本の景気が本当に回復しているかを測る最重要データ。
注目は以下の項目:
| 内訳 | 注目ポイント | 市場解釈 |
|---|---|---|
| 個人消費 | 賃上げの波及がどれほどか | 増えていれば国内株が買われやすい |
| 設備投資 | 企業の先行投資意欲 | 増加なら景気上昇シグナル |
| 輸出 | 円安の恩恵がどこまで拡大 | 増加なら製造・商社株に追い風 |
市場インパクト
- GDP強い → 日銀の金融正常化観測 → 円高 → 自動車株下落・銀行株上昇
- GDP弱い → 追加刺激期待 → 円安 → 輸出株上昇
✅ 国内決算ラストピーク(11月14日 金)
重要度:9
ここで勝ち組と負け組が完全に分かれます。
| 勝ちやすい業種 | 理由 |
|---|---|
| 半導体・電子部品 | 世界のAI投資が加速し続けている |
| 自動車 | 円安恩恵が継続、需給改善 |
| 旅行・外食 | インバウンド回復が続く |
| 苦戦しやすい業種 | 理由 |
|---|---|
| スーパーマーケット | 仕入れ価格上昇を価格転嫁できない |
| 国内建設 | 資材コストと人件費が依然高止まり |
📌 セクター別影響まとめ
| セクター | 追い風条件 | 向かい風条件 |
|---|---|---|
| 半導体・AI | CPI低下+利下げ期待 | 金利上昇 |
| 自動車・輸出 | 円安 | 円高 |
| 小売・外食 | 賃金上昇+消費改善 | インフレが賃金を上回る |
| 銀行・保険 | 長期金利上昇 | 金利低下 |
🎯 投資戦略(実践編)
1. CPI発表の前後はポジションを大きくしない
理由:短時間で大きな値動きが出る可能性が高い。
2. 動きが出た後に追随する方が勝率は高い
インフレ数値や議事要旨の方向が出た2日後が狙い目。
3. 為替を指標にする
- ドル円上昇 → 輸出株
- ドル円下落 → グロース株
📝 総括
2025年11月第2週は
「インフレと景気と政策の三点セット」が同時に評価される週 です。
つまり、
- CPIが今後の利下げシナリオを決め
- GDPが日本経済の実力を可視化し
- 決算が業種別資金移動を決める
という 投資家にとって“方向性が決まる週” といえます。
感情ではなく、データに基づく観察を中心にすることで、
年末相場を有利に進める準備が整います。
最終判断はご自身で行ってください。
今回も読んでいただき、ありがとうございます。次の投稿で会いましょう
バイバイ

