目次
第11話「旅の終わり、始まりの村」
❄ 冬の朝に、灯る焚き火
白い息が、空に吸い込まれていく。
朝露が凍りつく季節、バリアルト村には初雪が舞っていた。
焚き火のそばで、ミーナが手袋を脱ぎながら、湯気の立つカップを差し出した。

「はい、ジンジャーとシナモンの“冬の芯ブレンド”。あったまりますよ」

「おお、ありがてぇ。……ミーナちゃん、いつの間にそんな技を?」
焚き火に腰かけたソウジは、にやけた顔でカップを受け取った。
旅装束の裾にはまだ雪が付いており、肩にかけたバッグには、ずっと守るように仕舞われた一冊の本――古びた歌集が入っていた。

「にしても、いい冬景色だよなあ。空気も凛としてるし、薪の匂いがちゃんと“村”を感じさせる。……前に来たときより、なんだか整ってきたな」
ルグラがガラスを磨きながら微笑んだ。

「村が育ってるんだよ。風を通してくれた、あなたのおかげでね」
ソウジは少し照れたように鼻を掻きながら、目を細めた。

「そうか……じゃあ、そろそろ俺も“旅の終わり”を考えないといけないのかもな」
その言葉に、ミーナとルグラが目を合わせる。だがその穏やかな日常は、ふとした報せで揺れることになる。
📜 閉ざされた港町、受け継がれぬ想い

「……届けたいものが、あるんだ」
ソウジは村長と、ユウ、ミーナ、ルグラを前に、深く息を吐いた。

「俺の父親が、旅芸人だったってのは前にも話したよな。あの人が残した最後の遺品――“歌集”と“手紙”を、港町《イーズウ》に住む、かつての仲間へ届けたい。……でも、問題が起きた」

「問題?」

「ああ。《イーズウ》の港町は今、疫病の流行と盗賊の襲撃で閉鎖状態。人の出入りが厳しく制限されてる。俺一人じゃ、通してもらえないかもしれない」
彼がそう語った瞬間、沈黙が落ちる。
しかし、ぼくは迷わず立ち上がった。

「行こう。俺たちも一緒に」
ユウもすぐに地図を広げた。

「《イーズウ》の南から回り込む山道ルートが一番安全そうです。移動時間は三日、途中の村で物資も調達できます」
ルグラは短くうなずき、ミーナもハーブをまとめて旅支度を始めていた。

「やっぱり、お前らは……強えな」
ソウジはふっと笑い、帽子を深く被った。

「俺の“やらなきゃならないこと”は、もう一人じゃ抱えきれなくなってたんだろうな」
🛤 歌が届いた、その先に
吹雪の中、山道を抜け、《イーズウ》の外れにある小さな廃屋にたどり着いた一行。
そこには、ソウジの父と旅を共にした老楽師・ヘルダが暮らしていた。
「おお……あのガキが、父親に似てきやがったな……」
ヘルダは耳が遠く、声は届きにくかったが、ソウジは小さく歌い始めた。
かつて父親が歌っていた“旅立ちの唄”。歌集に書き記されていた最後の歌。
――風が運ぶ ものの音
――誰もが忘れかけた歌
――いつか君が 帰る場所
――そこに火を灯そう
涙を流しながら、ヘルダは手紙を胸に抱き、何度も頷いた。
「ありがとうよ……あいつの“最後の歌”が……確かに届いた……」
ぼくたちは静かにその場を離れ、ソウジにひとりの時間を与えた。
翌朝、村へ戻る道すがら、ソウジはふいに口を開く。

「村長……あんたの誘い、今度こそ受けるよ」

「……本気か?」

「ああ。今度は“物語”を運ぶためじゃない。俺自身が、この村で生きるために、ここに帰ってきたい」
ユウは言葉もなく、微笑んだ。
ミーナは静かに小さな包みを渡した。それは、彼女がこの旅のために特別に調合した“冬の風ブレンド”。

「あなたの居場所は、ちゃんとここにあります」
ルグラも、ソウジのバッグに手を伸ばし、ガラスのペンダントを指差した。

「次に吹かせる風は、あなたの手で、ね」
✨ 焚き火の灯る村にて
冬の夜。ソウジは正式に“村の外部担当”として、バリアルト村の一員に迎えられた。
村の焚き火のそば、ユウが帳簿を片手に笑う。

「これで村の“流通と物語”は完璧ですね」
ミーナが焚き火の上に風鈴を吊るし、ルグラの新作が揺れた。
ぼくは椅子にどっかりと座り、言った。

「風が帰ってきた。さぁ、次は村をもっと賑やかにしようか」
ソウジはその中心で、炎に手をかざしながら呟いた。

「……旅の終わりが、“居場所の始まり”になるなんてな」
バリアルト村の冬は、静かに、しかし確かに灯っていた。

大国歴20年
ここにぼくの村《バリアルト》での村づくりが一歩進んだ。
紹介
港町イーズウ

■名称 港町イーズウ
意味:古語で「光を帯びた海岸線」を意味する。地元では「光の港」とも呼ばれる。
■立地・地形
- 東方の大海「ホースズ湾」に面した港町。
- 山々に囲まれた峡谷を抜けた先にあり、交易と旅人の交差点として栄えた。
- 海に突き出た石造りの桟橋、干潮時に現れる白い砂浜、潮風で塩気を帯びた石畳の街道が特徴的。
- 海に沈む夕日が町全体をオレンジ色に染める様は「沈み火の光景」として旅人の間で有名。
■文化と人々
- **旅芸人、吟遊詩人、手工芸職人たちが集まる“芸の町”**として知られている。
- 過去には毎月のように「潮風祭」や「唄の市」が開かれ、歌や踊り、物語を求める人々で賑わっていた。
- 近年は疫病と治安の悪化により往来が制限され、外部との接点がほとんど途絶えている。
■歴史的背景
ソウジの父が若き頃、仲間たちとともにここで“巡る風の唄”を披露し、一躍有名になった伝説が残る。
数百年前、「海と風を司る巫女伝説」の舞台とされる神殿遺跡があり、霊的な聖地として信仰の対象だった。
次回 第12話「冬灯の宴(ふゆあかりのうたげ)」
これから村が繁栄していくところをゆっくりですが投稿していこうと考えています。
あと、村の繁栄度は、ぼくのリアルの繁栄度と比例させていますので、気長にお付き合いしていただくとありがたいです。
イラストやストーリはChatGPTを利用しています。
最後に
今回も読んでいただき、ありがとうございます。次の投稿で会いましょう
バイバイ
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。